凄いモノを育てるのは、私たちではなく、地域の人たち。

ご覧いただき有難うございます。石巻で、再生可能エネルギー事業のプロジェクトマネジメントを担当している杉浦です。
このページで、サステナジーでのお仕事における地域の方々との関わりについて、ご紹介するという大役を仰せつかりました。

簡単にではありますが、私なりに地域での出会いやオドロキをご説明してみたいと思います。
皆様、お付き合いの程、どうぞ宜しくお願いいたします!

地元のための新しい事業として再生可能エネルギー事業を提案

さて、まず、仕事の中で、地域の方に多くいただく言葉を並べてみます。
「我々は情報を持っていない」
「地元のために新しいコトをやりたいけれど資源も何もないしどうしたら良いのだろう?」
「他地域がうまくやっている事例はある。でも、本業もあるし誰の力を借りれば良いのか?」

こう言われたとして、皆様には何かお勧めできるビジネスモデルはありますでしょうか?
我々の場合は例えば地域での再生可能エネルギー事業となります。

再生可能エネルギー事業と聞くと、大企業が参入し、地元自治体の許認可を得ながら、
独自で発電事業をゴリゴリと推進する絵が思い浮かぶ方も多いと思います。
そして、大規模発電所のメディア発表をバーン!
そうなると地域の力はあまり必要ではないですよね。
資本も大企業のもの、グローバルに循環しているマネーがベースです。
すると上記の悩みに応え得る事業にはなりません。

では我々はどうしているか。
地元のお金が集まる信用金庫さんのお金で、地元の会社が事業を行い、
事業の利益は地元に還元する、そんな形のプロジェクトを作り上げていっています。

太陽光発電、小水力発電、バイオマス発電、風力発電などはどれをとっても地域の自然資源を活用した事業。
ただ、地域には再生可能エネルギー発電事業を企画、運営、管理するノウハウの蓄積は(ほぼ)ありません。

そこで、私たちが地域に入り、プロジェクトの絵を描き、地元の方々、地元の金融機関、
地元の建設会社を巻き込みながら、信頼できる事業者チームを編成し、地域にプロジェクトの種を蒔くのです。
そうして育てていくと、地域に求められる事業に近づいていくんですね。

地域のキーパーソンと事業の骨格を作り、信用金庫からの融資を受け育てる

勿論、簡単ではない事業です。
一から、地域に入っていくことになりますから。
でもだからこそ、素晴らしい志を持った方々との出会いや、心底充実感の得られる日々がその先にあるんです。

話を進めます。
まず、地域の金融機関の信頼、地域のキーパーソンとの膝を交えた話し合い―そうした積み重ねを得て、
やっとプロジェクトの「種」の段階です。

この先「種」に「水」を遣るのは、地域の力が必要です。具体的には、信用金庫さんからの融資です。
地域の、草の根のお金を、どう地域振興に役立てていくか、厳しい審査が行われます。
まして、地域でのトラックレコードの少ない再生可能エネルギー事業。正直、厳しい部分もあります。

私の場合、ここで出会いがありました。
石巻信用金庫で、石巻の事業(会社名で言うと、関連会社のおひさま株式会社)を担当していただいているK部長。
この方なくしては、事業は何一つ形にならなかったのではないか、と言える程お世話になっています。

端的に言うと、K部長は、再生可能エネルギー事業へ向け、庫内をぐいぐいと引っ張ってくれたくれた方です。
丁寧な対応をしてくださる(それもイケメン!)な方のため、若手の頃からK部長の担当窓口には行列が出来、
真摯な仕事ぶりから、自社はおろか地域の他庫からも信頼の厚い、そんな方でもあります。

私たちは、金融機関への説明用に詳細な事業説明資料を用意しますが、
どれだけ丁寧な説明を心がけても、金融側の「コトバ」、事情に合わせた資料にするのは難しい部分があります。

そこを橋渡しするために、K部長は、自前で、一から、行内用の説明資料を作成してくれたのです。
その丁寧さは類稀に感じるもので、資料作成のために、K部長はそれこそ毎日、細かな部分、
ニュアンスの確認を得ようと私共のところに足を運んでくださりました。
それだけではなく、協調融資先と話をつけてくださったりと本当にアクティブです。

なぜここまで動いていただけるのでしょうか。
K部長や信用金庫の目的は地域振興であり、単なる利益追求ではないことは勿論、
地域の未来のために、おひさま株式会社という私共の会社を活かそうと考えているためです。
また、再生可能エネルギー事業がその目的に適うと考えていただいているから。
そして、最高の信金イズムと言うべき情熱をお持ちだから、だと思っています。

地域にとって”自分事”となったエネルギーを長期間メンテナンスしていく

そうしたK部長の支えがあり、石巻での事業は大きく力を得て進んでいます。
(手前味噌ですが、サステナジーが地域のプロジェクトを丁寧に実現してきた実績も、大きいんです。
地域金融機関同士のネットワーク内で信頼度が非常に高く、
ご紹介をいただくことも度々。このことも大きく融資を後押ししています)

融資が進み、地元の方々への説明会などが進み、地域のプロジェクトとして受け入れられると、
我々の蒔いた「種」が、地域の方々によって発芽し、急スピードですくすくと育っていくことを実感します。
地域が求めていたプロジェクトと認識されれば、後は地域の方がどんどん上乗せされ、加速していくんです。
設備の設計・建設も地域企業を通じて、力強く行われていきます。

想像以上の対応の良さに、驚くばかりです。

こちらからただお願いして、許可を取って進めるプロジェクトとはまるで違う。
種を蒔いたのはこちら側だったかもしれませんが、
いつの間にか地域が自分事として進める事業にパートナーとして携わるような逆転現象が起こんですね。

今は、こうしたプロジェクトを複数抱え、大きな充実感を得ながら仕事をしています。
でも、もっともっと、地域毎に適したエネルギー体系を構築していきたい。
生きてる間は、自分にはこのチャレンジがずっと続くんじゃないかな、とさえ思っています。

なぜでしょうか?
例えば小水力発電プラントの寿命は約100年。その間メンテナンスが続きます。
地域にとって欠かせない事業となったものを、ずっと預かっていくことになります。
責任重大ですが、こんなに面白い仕事はありませんよね。

(おひさまコーポレーション(石巻市) 杉浦弥生)